日本と海外における住宅の省エネ基準の違い

2023年8月23日

日本の住宅は海外から見て質が低いと言われていますが、これは単純に面積が小さいという理由だけではないようです。建設した住宅を長い間良好な状態で保つという視点が欠けていることが要因の一つとして考えられます。

さらに住宅が消費するエネルギー量が大きすぎることも問題視されているのですが、海外の省エネ基準と比較するとどのような違いが見られるのでしょうか。今日本の省エネルギー・省資源を実現するために海外の省エネ基準について調査していきます。

省エネ基準とはどのようなものなのか

そもそも省エネ基準とは何を指すのでしょうか。省エネ基準は、省エネ法に対応すべく1980年に制定され、1992年と1999年に改正・強化されています。地球環境問題解決には、住宅においても省エネが求められるとして、外壁や窓などの断熱や設備性能を総合的に評価する基準が必要となりました。

断熱性能や設備性能が改善されると、その分エネルギーの消費を抑えられます。つまり、建物全体でエネルギーの消費量を減らす基準が省エネ基準なのです。省エネ基準は2013年に設けられ、従来の断熱や給湯などの消費エネルギーも計算が求められるようになっています。

住宅における省エネ基準とは?

国内では2017年4月より、住宅の省エネ性能に関する法改正が行われました。建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案で、住宅の省エネ性能評価では以下の2つの基準が用いられるようになっています。

住宅の窓・外壁などの外皮性能の評価基準

外皮は屋根・天井・壁・開口部・床・基礎などの熱的境界となる部分を指します。断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率」・「冷房機の平均日射熱取得率」などがあり、外皮部位の面積合計に対する指標となっています。内外温度差が1℃の場合、屋根・壁・開口部・床から逃げる熱量の合計を全外皮面積で割って算出する仕組みです。

設備機器などの1次エネルギー消費量の評価基準

評価大対象住宅で共通条件を設け、設計仕様で算定した値が基準仕様で算定した値よりも低くするよう求められます。冷暖房・換気・照明・給湯などの設備のエネルギー消費量を合計して算出し、算定します。

住宅の省エネ基準は、全エネルギー消費量の3割以上を占めていると言われています。政府は、日本の省エネ性能に対しての義務化を決定しようとしています。これまでは、耐震性能から義務化が行われ、甚大な被害が発生する度に基準が強化されてきました。今後は、省エネ性能に対して最低限度の基準を設ける可能性が高いです。

日本と海外における省エネ基準の違い

ヨーロッパの中でもドイツは特に環境意識が高い国として有名です。ドイツなどは省エネについてどのような基準を設けているのでしょうか。日本と海外の省エネ基準の違いについて見て行きましょう。

ドイツ・スイスの省エネ基準

ドイツは2013年にパッシブハウス基準の住宅が竣工しました。さらにスイスでもエネルギーPエコ基準の住宅が竣工され、世界最高峰と言われる超高性能化の建築物基準が制定されました。断熱や気密性を極めた建築によって冷暖房を使用しなくてもよいというエネルギー効率の高さが特徴です。

パッシブハウスの基準をクリアすればエネルギー効率の面で非常に貢献できるのですが、認定を受けるためには厳しい基準を満たさなければならないため、日本での実例は数えるほどしかありません。これは日本で暖房負荷基準が明確に決まっていないという理由も考えられます。用している本場ドイツでも標準住宅に比べ5~8%初期費用が高くなるので、パッシブハウスはコスト面からニーズが満たされない場合もあるようです。

各国の省エネ基準を「一次エネルギー換算係数」で比較してみる

PEF(一次エネルギー換算係数)は、各国の発電事情によって変わってきます。日本の場合は、暖房・冷房・換気・給湯・証明・家電・調理が含まれています。

ドイツのパッシブハウス基準では冷蔵庫や洗濯機などの家電や調理など最低限必要なものしか含まれていません。スイスのミネルギー基準では暖房・換気・給湯の項目に限定されるので、正確な係数で比較することはできないでしょう。しかし、3国で共通する「暖房・換気・給湯」に項目を絞れば比較することは可能です。

<一次エネルギー換算係数>
日本(省エネ基準):2.7
ドイツ(パッシブハウス基準):2.6
スイス(ミネルギーP基準):2.22

<エアコン・暖房・換気の合計一次エネルギー換算係数>
日本(トップランナー相当地域):97kwh/㎡年
ドイツ:25kwh/㎡年
スイス:24kwh/㎡年

イタリアの省エネ基準

日本の首都・東京は「夜型」というテーマと共に24時間電力を消費しているライフスタイルを持っています。一方、イタリアでは日本のような24時間営業をしているコンビニやカラオケなどがありません。イタリア人は普段から電力の使用量を最小限に抑える工夫がなされているのです。省エネの国と呼ばれるイタリアのライフスタイルについて覗いてみましょう。

屋内の明かりは自然光を利用する

イタリアの住宅は日本に比べて天井が高く、窓が大きめに作られています。日中はほぼ自然光で生活し、照明を使うこともありません。多少部屋の中が薄暗くてもイタリア人はそれほど気にならないようで、夜になってやっと照明をつける世帯がわりと多いようです。

アパート暮らしが基本

イタリアの中心地はアパートが多く立地しており、一戸建ての家はあまり建設されていません。大きな街ではほとんどの住民がアパート暮らしで、階段の照明は自動照明になっています。冬場の暖房に関してもセントラルヒーティングが設置され、使用できる期間が決まっているところが多いのです。これは個人が電力無駄使いをしないよう強制的に設けられたライフスタイルと言えます。しかし、アパートに設置されている暖房器具はバス・トイレなど各部屋に付いているので、省エネには特化していますが快適に過ごせるようになっています。

カーシェアリングに積極的

カーシェアリングの需要は日本でも多いのですが、イタリアではそれをはるかに上回っています。少し前から「ブラブラカー」というサービスが導入され、サイトを通して自分が希望する目的地に同日車で移動する人を探し、相乗りしていくというサービス内容です。運転手は高速料金やガソリン代の一部を負担してもらうことができ、相乗り同乗者は公共の乗り物に支払うチケット代を支払わずに目的地まで車で送ってもらうことができます。ブラブラカーのブラブラは「ぺちゃくちゃ」というネーミングが含まれ、長旅のしゃべり相手にもなる話題のサービスとなっています。
このようにイタリアでは電力エネルギーや燃料を共同で管理しながら、できるだけ省エネで生活していくというライフスタイルを持っています。日本の生活は1日中照明や暖房を点けっ放しにしておくことが当たり前です。イタリアの不便さの中には日本人が見落としている大切なことがたくさん詰まっていると言えます。日本もイタリアのような省エネ生活を取り入れられれば、さらに電力の使用量を抑えることができるのではないでしょうか。

まとめ:エスコシステムズなどのサービスを利用して、エネルギー効率を高める

日本の基準は義務基準でドイツやスイスは民間基準という違いはありますが、これだけPEFに差があることが確認できました。日本のエコ基準は、それぞれの地域が推奨する仕様に基づいて規定されたものです。寒冷地ほど断熱仕様が高くなるなど、地域によって基準数値が変化します。しかし、ドイツやスイスでは立地や寒暖差など関係なく一次エネルギーや暖房負荷に関しては一律基準で定められていることから、日本の義務基準を厳しく見直す必要があるのではないでしょうか。

国単位で見ると、どうしても一律した基準で眺めることになり、家庭ごとや事業者ごとの詳細を見ることが難しくなってしまいますが、個々人でエネルギー効率を高めるために出来ることはたくさんあります。エスコシステムズなど省エネ商品を提供している会社のサービスを利用することで、家庭や会社のエネルギー効率を見直すことができるのです。

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